投資リスクというと、多くの人は暴落を思い浮かべます。1カ月で資産が大きく減るような急落は、確かに怖いものです。しかし、投資家の心をじわじわ削るのは、暴落だけではありません。
むしろ厄介なのは、何年も増えない横ばい相場です。毎月積み立てているのに、評価額がほとんど増えない。上がったと思ったら下がり、下がったと思ったら少し戻る。派手な恐怖はないのに、「この投資は意味があるのか」という疑問が少しずつ大きくなります。
米国株にも停滞期はあった
米国株は長期で見ると強い成長をしてきましたが、常に順調だったわけではありません。代表的なのが2000年代です。ITバブル崩壊とリーマンショックに挟まれ、S&P500は長い停滞期を経験しました。
この時期に高値付近で一括投資をしていた人は、長い間、報われない気持ちを抱えたはずです。10年近く経っても大きく増えない。配当を含めても期待したほどの成果が出ない。長期投資という言葉が、きれいごとに聞こえる時期です。
横ばい相場の怖さは、ニュースで大きく騒がれにくいことです。暴落なら「今は非常時だ」と分かります。しかし横ばいは、毎日少しずつ退屈と疑念を積み上げます。そしてある日、「もうやめようかな」と思わせます。
積立投資家には仕込みの期間になる
一括投資家にとって横ばい相場は苦しい時間になりやすいですが、積立投資家にとっては意味が変わります。価格が上がらない期間が続くということは、同じ金額で比較的多くの口数を買い続けられるということです。
毎月の評価額が増えないと、成果が出ていないように感じます。しかし、見えにくいところで口数は増えています。将来、市場が上昇局面に入ったとき、その口数が資産の伸びを支えます。
横ばい相場は、短期的には退屈です。ただ、長期の積立投資では、後から振り返ると「安く買い集めていた時期」になることがあります。これを理解しているかどうかで、停滞期の見え方は大きく変わります。
MarketReplayで停滞期を体感する
MarketReplayで長期のワーストシナリオを見ると、投資開始から長い間、思うように資産が増えない期間が出てきます。
このグラフで確認したいのは、最終的に増えたかどうかだけではありません。途中でどれくらい長く停滞したのか、積立を続けたことで口数がどう積み上がったのかを見てください。
実際の投資では、停滞期の真ん中にいると「今が仕込み時だ」とはなかなか思えません。だからこそ、平常時に過去の停滞期を見ておくことが大切です。経験していなくても、先に見ておけば心の準備ができます。
横ばい相場でやってはいけないこと
横ばい相場で一番危険なのは、焦って投資方針を変えすぎることです。
- 増えないから積立をやめる
- 最近上がっている別の商品に乗り換える
- SNSで話題の短期投資に手を出す
- リスクを取り返そうとして投資額を急に増やす
- 逆に怖くなってすべて売却する
これらはどれも、長期計画を壊す原因になります。停滞期は、何か特別なことをしたくなる時期です。しかし、長期投資では「何もしない」ことが最も難しく、最も大切な行動になることがあります。
停滞期を乗り切るための工夫
横ばい相場を乗り切るには、評価額だけでなく、別の指標も見るようにしましょう。
たとえば、累計の積立額、保有口数、現金比率、生活防衛資金、投資目的の進捗です。評価額は相場次第で上下しますが、積立を続けていれば保有口数は増えます。これは自分の行動によって積み上がる成果です。
また、毎日評価額を見ないことも有効です。停滞期に毎日チェックしても、得られる情報はあまり多くありません。むしろ不安だけが増えます。月1回、または年数回の確認にとどめるほうが、長期投資には向いています。
退屈な時期こそ、資産形成は進んでいる
横ばい相場は、投資家にとって試験のようなものです。上昇相場では誰でも強気になれます。暴落では恐怖に耐える力が問われます。そして横ばいでは、退屈に耐える力が問われます。
資産形成は、いつも目に見えて進むわけではありません。評価額が増えない時期にも、口数は増え、経験は積み上がり、次の上昇局面への準備は進んでいます。
停滞期に必要なのは、特別な才能ではありません。今が増えない時期であっても、将来の資産を作るための期間だと理解し、無理のない積立を続けることです。
本記事は特定の商品や売買タイミングを推奨するものではありません。投資判断はご自身の資産状況、目的、リスク許容度に合わせて行ってください。