新NISAが始まって以降、「S&P500だけでいい」「オルカンより米国株のほうが伸びる」という声を目にする機会が増えました。過去の成績を見ると、米国株、とくにS&P500が非常に強かったのは事実です。長期で保有した投資家に、大きなリターンをもたらしてきました。
ただし、新NISAは短期売買のための制度ではなく、長い時間をかけて資産を育てるための器です。だからこそ、過去のリターンだけでなく、自分が何十年も持ち続けられる投資先かという視点が欠かせません。
S&P500に集中する魅力
S&P500は、米国を代表する大型株で構成される株価指数です。Apple、Microsoft、Amazon、NVIDIA、Alphabet、Metaなど、世界中で稼ぐ企業が多く含まれています。米国企業は、巨大な国内市場、強い資本市場、イノベーションを生みやすい産業構造を背景に、長期的に利益を伸ばしてきました。
S&P500に投資する魅力は、こうした企業群の成長をまとめて取り込めることです。個別株のように1社の決算や不祥事に振り回されにくく、米国経済の中心に広く投資できます。
さらに、S&P500は世界中の投資家が参照する代表的な指数です。連動する投資信託やETFも多く、低コストの商品を選びやすい点もメリットです。
米国一極集中のリスク
一方で、S&P500だけに投資するということは、かなり明確な意思決定でもあります。投資先の中心を米国に寄せるため、米国市場が不調になったときの影響を強く受けます。
考えておきたいリスクは次の3つです。
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カントリーリスク
米国が今後も世界の中心であり続ける保証はありません。過去には日本株が世界市場で非常に大きな存在感を持っていた時代もありました。強い国や市場は、時代によって変わります。 -
セクター集中リスク
S&P500は米国大型株に分散されていますが、時価総額加重型の指数であるため、巨大テック企業の比率が高くなる時期があります。ハイテク株が不調になると、指数全体にも影響します。 -
為替リスク
日本円で生活する投資家にとって、米国株投資はドル建て資産を持つことに近い意味を持ちます。円安は追い風になりますが、円高は評価額の重しになります。
オルカンとの違いは「未来の勝者を選ぶか、選ばないか」
オルカンは、全世界の株式に広く投資する考え方です。現在は米国比率が大きくなりやすいですが、将来ほかの国や地域の存在感が高まれば、指数の中でその比率も変わっていきます。
S&P500を選ぶことは、「今後も米国企業が世界の成長を牽引する」と考える投資です。オルカンを選ぶことは、「どの国が勝つかを自分で決めず、世界全体に乗る」と考える投資です。
どちらが正解かは、未来にならないと分かりません。大切なのは、リターンの差だけでなく、自分が納得して持ち続けられるかです。S&P500のほうが期待リターンは高いと感じても、米国不調のニュースで不安になって売ってしまうなら、その戦略は自分に合っていないかもしれません。
MarketReplayで確認したいポイント
S&P500と全世界株式の違いは、言葉だけで考えるより、過去データを使って見比べると実感しやすくなります。
▼ S&P500のシミュレーション
▼ 全世界株式のシミュレーション
ここで注目したいのは、最終資産額だけではありません。最大ドローダウン、含み損の期間、円建てで見たときのブレも確認してください。S&P500のほうが大きく増えたとしても、途中の下落が大きく、自分が耐えられないなら問題です。
新NISAでは非課税で長期運用しやすい反面、途中で方針を頻繁に変えると制度の強みを活かしにくくなります。最初に「自分はどの程度の集中リスクを受け入れるのか」を決めておくことが大切です。
S&P500だけでよい人、分散を足したほうがよい人
S&P500だけでも納得しやすいのは、米国企業の競争力を強く信じており、長期の停滞や円高局面でも持ち続けられる人です。米国市場のニュースに一喜一憂しすぎず、暴落時にも積立を続けられるなら、シンプルで力強い戦略になります。
一方、米国一極集中に少しでも強い不安があるなら、オルカンや国内資産を組み合わせる選択肢があります。リターンの期待値は下がる可能性がありますが、納得感と継続しやすさが増すなら、その価値は十分あります。
投資で最も大切なのは、誰かの正解を真似ることではありません。自分が暴落時にも説明できる配分を作ることです。新NISAは長く付き合う制度だからこそ、派手なリターンよりも、続けられる設計を優先しましょう。
制度の概要は金融庁のNISA特設サイト、指数の基本情報はS&P Dow Jones Indicesなどの公式情報も確認してください。
本記事は特定の商品や売買タイミングを推奨するものではありません。投資判断はご自身の資産状況、目的、リスク許容度に合わせて行ってください。