S&P500は長期投資の代表的な選択肢として語られます。過去のリターンは非常に優秀で、米国株に投資する投資信託も人気があります。しかし、長期チャートをきれいに眺めるだけでは、実際の投資体験は分かりません。
本当に知っておきたいのは、最悪のタイミングで始めたらどうなるのかです。投資を始めた直後に暴落が来ても、積立を続けられるのか。資産が一時的にどれくらい沈むのか。回復までどれくらいの時間がかかるのか。ここを知っておくと、下落相場での不安はかなり変わります。
S&P500にも厳しい時期はある
S&P500は長期では成長してきましたが、途中には深い谷が何度もあります。
2000年代初頭のITバブル崩壊では、過熱したハイテク株が大きく下落し、市場全体も長く低迷しました。2008年前後のリーマンショックでは、金融危機によって世界中の株式市場が大きなダメージを受けました。
このような時期に投資を始めると、しばらくの間は「積み立てても増えない」「入金しているのに評価額が下がる」という苦しい時間を過ごします。長期投資の本には「持ち続ければ報われる」と書かれていても、実際に含み損を抱える数年間は簡単ではありません。
ワーストシナリオを見る意味
平均リターンだけを見て投資計画を立てると、暴落時に計画が崩れやすくなります。年利5%や7%でなめらかに増えるグラフは分かりやすいですが、現実の市場はそんなに親切ではありません。
ワーストシナリオを見る目的は、悲観的になることではありません。むしろ逆です。最悪に近い展開を事前に知っておくことで、「この程度の下落は過去にもあった」と受け止められるようになります。
投資で怖いのは、下落が起きることそのものではなく、想定外だと感じてパニックになることです。想定内にしておけば、行動はずっと安定します。
MarketReplayで確認してみる
MarketReplayで、S&P500に毎月3万円を20年間積み立てた場合のシミュレーションを見てみましょう。
ワーストシナリオでは、投資開始後に大きな下落に巻き込まれる期間があります。評価額が元本を下回る時期もあり、数字だけを見れば不安になるはずです。
しかし、そこで積立を続けていると、安い価格で多くの口数を買い続けることになります。市場が回復し始めたとき、その口数が資産の回復を押し上げます。最悪のタイミングで始めたとしても、長期で続けることで結果が大きく変わるのは、この仕組みがあるからです。
暴落時に見てはいけないもの、見るべきもの
暴落時に毎日見てしまいがちなのは、評価額のマイナスです。もちろん気になるのは自然ですが、それだけを見ていると、投資をやめたくなります。
代わりに見たいのは次の3つです。
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口数が増えているか
積立投資では、価格が下がるほど多くの口数を買えます。将来の回復時に効いてくるのは、この口数です。 -
生活資金に影響がないか
生活防衛資金を確保できていれば、下落中に売却を迫られる可能性は下がります。 -
投資目的は変わっていないか
老後資金や長期の資産形成が目的なら、短期の下落だけで方針を変える必要はありません。
暴落時の判断は、相場の予測ではなく、自分の計画に戻ることが大切です。
最悪を知ることは、続ける力になる
最悪のタイミングで投資を始める可能性は、誰にでもあります。投資開始日を完璧に選ぶことはできません。だからこそ、タイミングを当てることより、タイミングが悪くても続けられる設計にすることが重要です。
MarketReplayのワーストシナリオは、投資家を怖がらせるためのものではありません。下落を事前に見て、現実的な積立額を決めるための材料です。グラフを見て不安が強いなら、積立額を下げる、現金比率を上げる、投資対象を分散する。そうした調整を平常時にしておきましょう。
長期投資で大切なのは、最高のタイミングで始めることではありません。悪いタイミングで始めても、市場に残り続けられることです。
本記事は特定の商品や売買タイミングを推奨するものではありません。投資判断はご自身の資産状況、目的、リスク許容度に合わせて行ってください。